咀嚼と健康維持

毎日の食事習慣で、健やかな身体を保つ

食事中の「咀嚼(そしゃく)」は、単に食べ物を「噛む」というシンプルな動作に見えますが、実は全身の健康に深く関わっています。「咀嚼」が、脳・体・心・寿命の点からも健康維持につながっているなんて、ちょっと感動的ですよね。

ここで健康維持につながる「咀嚼」の5つのポイントをご紹介します。
1.脳を活性化して記憶力,集中力がアップ
2.消化を促進し、栄養吸収をスムーズに
3.食べ過ぎを防ぎ、生活習慣病を予防する
4.リラックス効果で姿勢と体幹を整える
5.口腔機能を維持し、健康寿命を延ばす

咀嚼習慣のコツ
・一口につき30回以上噛むことを意識しましょう
・根菜類・雑穀米・ナッツ・干物など噛み応えのある食材を取り入れると自然に咀嚼回数が増えます

1.脳を活性化して記憶力,集中力がアップ
よく噛むと脳への血流が増加して、記憶力や集中力が向上します。ガムを噛む習慣がある人は、脳の活動が約30%向上するという研究例も。野球選手が試合中にガムを噛んでいる姿を見ますが、きっと集中力を高めているのでしょう。
科学的には、脳の海馬が刺激されて記憶力強化や、前頭前野が刺激されて認知機能/集中力向上が確認されています。高齢者においては認知症予防にもつながるようです。

2.消化を促進し、栄養吸収をスムーズに
よく噛むと唾液が多く分泌されますが、唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれるので、胃や腸での消化をスムーズにします。
食べ物が細かく砕かれることで、胃腸への負担が軽減されるので、食物の栄養素の吸収率が向上するのです。胃痛や胸焼けなどの症状が軽減され、食後の「おいしかった!」感が違いますよね。
また、たんぱく質やビタミン成分を含んだ、硬めの食材を取り入れることで、自然と咀嚼回数が増えます。

3.食べ過ぎを防ぎ、生活習慣病を予防する
よく噛むことで、脳内で分泌されるヒスタミンが脳の満腹中枢を刺激して満腹感を得やすくなります。食事時間が長くなる効果もあわせて、食べ過ぎを防ぐことができるのです。さらにヒスタミンは脂肪燃焼も促すという研究結果もあります。
またゆっくりとよく噛むと、食後の血糖値の急上昇を防げるので、インスリン(血糖値を下げるために膵臓から分泌されるホルモン)の分泌を安定させて、糖尿病のリスク低減にも効果的です。生活習慣病の予防にもつながっているのですね。

4.リラックス効果で姿勢と体幹を整える
よく噛むことで、副交感神経が優位になるので、身体はリラックス状態となりストレスも軽減されやすくなります。緊張がほぐれて自律神経が安定するのですね。「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌も促され、気分が前向きになりやすくなるのです。
また、口・顔・首まわりの筋肉が良く動いて活性化します。それらの筋肉と体幹の深層筋(腹横筋や多裂筋など)は連動して働くので、よく噛むことで自然と体幹を使った安定した姿勢を保ちやすくなります。姿勢維持の土台づくりができるのです。姿勢が安定すると、首や背骨への負担が減るので、肩こりや猫背の予防に役立ちます。
高齢者で「噛む力」が弱まると、姿勢が崩れやすくなるという報告もあるのです。
「咀嚼」が身体全体の姿勢・体幹につながっているのですね。

5.口腔機能を維持し、健康寿命を延ばす
よく噛むと唾液が多く分泌されますが、唾液には抗菌作用があり、口内の食べカスや細菌を洗い流す効果があります。もちろん、この抗菌作用は、歯周病の原因となる細菌の増殖を抑えることができますよ。
さらに唾液には食後に酸性に傾いた口内を中性に戻してpHバランスを維持する作用があります(pHは、水素イオン濃度のことで液体の酸性/アルカリ性の度合いを示す)。これにより、歯の表面が酸で溶けるのを防ぐので、むし歯の予防につながるのです。
口内の機能維持が健康寿命の鍵とも言われており、咀嚼力の低下がフレイル(虚弱)や寝たきりのリスクを高めることも報告されています。
つまり「よく噛む」ことは、健康寿命を延ばすための重要な習慣なのですね。

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